発達障害っ子の息子は2歳から、療育に通い始めた。
療育は市の障害支援センターで行われていた。
障害、という名の施設だから様々な年齢の、障害をお持ちの方が来ていた。
おそらく成人と思われる人に、お母さんが付き添ってやってくる。
お母さんはにこにこして、子どもさんの小さな成長を職員と共に喜んでいた。
定型発達の子どもなら、お母さんよりも友達や恋人を優先する年頃だろう。
でも彼らはお母さんが必要だ。
ひとりでセンターに来ることも不可能だろう。
私の友人は正社員で専門職に就き、お子さん方は日本を代表する有名大学に進学して
一流企業に勤めていらっしゃる。
旦那様も家事を率先して分担してくれるなど、優しい方だ。
羨ましいし、何の悩みもない人だと思っていた。
それなのに、子どもが手を離れてさみしいと泣く。
もう5年になる。
子どもが自立して親元から羽ばたいていくのは嬉しいことだ。
でも子ども中心でまわってきた時間が長いから、ママはさみしい。
空の巣症候群と名が付くくらいだから、きっと多くのママがそう感じているのだろう。
親が亡き後の心配はあるが、障害を持つ子どもはずっとママといてくれる。
大切な我が子と唯一無二の存在でいられるのだ。
それもまた、ママにとって究極の幸せなのだろうか。